ドイツ・ソーラーコンプレックス社 ミュラー氏来日シンポジウムの報告
投稿日:2014-06-20
去る6月10日、弊社中谷が理事を務めるクラブ・ヴォーバンと不動産会社のさくら事務所の共催で、ドイツの市民ソーラーの草分け的存在であるソーラー・コンプレックス社の代表べネ・ミュラー氏を招き、「Think global, Act local ~地域のエネルギー大転換を実施する~」と題してシンポジウムを開催致しました。
第一部では講師に不動産コンサルタントの長嶋修氏による講演が行われました。
縮小均衡する社会を生き抜く投資行動と経済のあり方と題して、新築住宅建設依存の経済モデルは持続可能なのか?エネルギー供給構造はこのままでいいのか?
投資や経済の観点から日本の将来ビジョンとその可能性についてお話頂きました。
ホームインスペクション(住宅診断)によって建物の状態を調べ、築年数による評価ではなく建物本来の価値を評価することで、資産としての住宅の価値をはじき出すこと。
それにより増え続ける住宅ストック(空き家)や人口推移の将来予測などを交えた日本の住宅供給に関する課題についてなど、非常に興味深いお話でした。
続く第二部では、ソーラー・コンプレックス社の代表べネ・ミュラー氏にドイツにおける再生可能エネルギーのこれまでの変遷と現状について、そしてソーラーコンプレックス社がこれの市民エネルギー事業の取組みについてお話頂きました。
ソーラーコンプレックス社はドイツ最南端、ボーデン湖のほとりにある企業で、再生可能エネルギー100%でエネルギー供給する未来を模索していた住民たちが設立した市民株式会社です。
代表のミュラー氏は、域内の住民からの大切な出資金をこれまでに約130億円集め、地域経済や住民を豊かにする再生可能エネルギーと省エネのプロジェクトに投入してきました。
これはとても重要なことで、エネルギー企業からエネルギーを買うという発想を根本から覆し、市民自らでエネルギーを作り出しエネルギーもお金も自分たちの間で循環させるという、地域のエネルギーの経済的自立を意味しています。
「ドイツと日本は違うから」とよく言われますが、今日本が目の当たりにしている政治的な問題、市民意識の問題などは、過去にドイツでも同様の問題があったそうです。そしてミュラー氏とドイツ市民はそれを乗り越えました。
もちろん現在もエネルギー大手企業や再生可能エネルギーの普及に消極的な政治家との戦いが終わったわけではありません。日本から見たらとてもうらやましくも見えるドイツですが、さらに先を見据えて今も戦っています。
参加者の多くの方にとって、これからの日本の再生可能エネルギーや市民エネルギーについてリアリティを持った可能性を見出すヒントになって頂けていたらと思っております。