省エネ断熱改修普及のための日独連絡協議会 メールマガジン 【7月15日号】

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省エネ断熱改修普及のための日独連絡協議会

メールマガジン VOL.4

 

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日本における省エネ断熱改修マーケットの確立を目指して!

 

本日のメニュー

【Ⅰ】ドイツ・エコセンターNRW主任研究員 永井宏治のドイツレポート

【Ⅱ】これからのセミナー・研修会のご案内

 

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╋■┛  ドイツ・エコセンターNRW主任研究員 永井宏治のドイツレポート

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ドイツの建築研究所であるエコセンターNRWの研究員で株式会社日本エネルギー機関

(私、中谷が代表)の取締役である永井宏治氏にドイツの省エネ改修の現状と問題点に

ついて解説いただきます。第二回目のテーマは非住宅の改修です。

 

 

非住宅建築物省エネリフォーム成功への第一歩は徹底分析

 

住宅、非住宅を問わず、省エネリフォームのプランをたてる際にまず行うべき作業は現況

調査となる。

 

住宅の場合、使用されるエネルギーの用途は冷暖房、照明、換気、給湯、家電と分けること

ができる。住まい方による影響があるとはいえ、一つの地域に存在する住宅を比較した場合、

冷暖房負荷の割合が4:6である住宅の隣家でスペックが同様であれば、その比率が10:0

になる可能性は通常0である。これは、住宅の使用用途が“居住”であり、それに応じて快

適な環境を維持することが目的であることが背景となる。すなわち、個人的な好みはあった

としても、目指す方向性は原則的に一つなのである。

 

非住宅になると全く状況が異なってくる。例えばオフィスであれば、温熱環境という観点

からすると、大型の事務所の場合、パソコンやコピー機等に加えて働いている人間という

総じて大量の熱源が存在する可能性が高い。

 

照明の観点からすると、仕事をする場として、あるいは顧客を招いて打ち合わせをするのに

暗いミーティングルームでは作業の効率のみならずイメージの損失にもつながりかねない。

これを解決するために開口部を多くとる、建築の流行りもあるが、対策として頻繁に見られ

る。しかし、それにより、光のみでなく、必要以上に太陽からの熱を取り込んでしまうこ

ともあり得る。ここで言う“必要”という

のは大量の熱源を配慮したうえでということである。つまり、断熱・遮熱の前に内部取得

の熱が異常に高い可能性もあるゆえ、住宅で通常考えられる、断熱・遮熱を適切に行い、

南側の開口部から熱を取得し、東西の開口部は小さくといった対策では、目標とする労働

環境が全く確保されないことになる。建築物等に隣接しない高層ビルで、東西のオフィス

には開口部が無く、北は全て給湯室と倉庫にというわけにはいかないのである。重要なの

はオフィスビル内のどこで何が必要とされ、そこに何がすでに存在するのか、また、その

空間で熱がどう移動するのかを詳細に分析して計画を練ることである。例えば、会議室の

熱気を換気する際に熱エネルギーとして取り出し、それを同じビル内の内部熱源が少ない

コンパクトオフィスに供給するという技術も存在する。

 

オフィスに類似した使用用途としては教育の場、すなわち学校があげられる。違いとなる

のは内部熱源の規模、使用者密度・時間である。教室に置かれる設備が限りなく少ない代わ

りに、オフィスビルよりも室内の使用者あたりの面積は平均的に小さい。さらに、その空

間が1日に連続して使用される時間も短くなる。ここから導き出される条件は、オフィス

ビルよりも暖房の比率が大きく、冷房は小さくなる可能性がある、また、換気回数が不規

則かつ集中的に高くなる時間帯が存在するということである。特に学校での換気はドイツ

国内でも研究が進められているテーマの一つと言える。集中力維持のための二酸化炭素濃

度管理、病気蔓延防止のための新鮮な空気確保を配慮しつつ、機械・手動・ハイブリッド

換気のいずれが適切かという研究が代表的なものとなる。ハイブリッド換気とは機械・手

動を組み合わせた(機械による窓の開閉も含む)もので、双方の最も効率の高い部分のみ

を利用し、ランニングコストをさげるものである。

 

全く異なる例としてはロジスティックセンターがあげられる。ここでは特に冬場の問題が

ピックアップされるが、断熱さえすれば問題が解決するわけではないというのは次の背景

によるものである。まず、ドイツ国内の法的にこの類の空間は寒い時期でも19℃に保た

なければならない。しかし、倉庫というものは原則的に天井が高く、空気を適切な温度で

保つには多くのエネルギーが必要とされる。それに加え、外からの物資が入ってくるので

ある。つまり、長時間外気の冷たいエネルギーをため込んだ物体が19℃の空間に侵入し、

熱を奪っていく、さらに、流通する物資が多いほど、この現象が頻繁に起こることになる。

これにより室温を保つには莫大なエネルギーが必要となり、断熱では解決しきれない問題

となるのだ。また、こういった建築物には同じ箱の中に事務所が備え付けられていること

が稀ではなく、その空間との熱移動も配慮しなければならない。

 

これまで例に挙げたように、非住宅の中から3種の建築物全てにおいて、必要とされる

省エネリフォーム対策が異なって来ることがうかがえる。また、これは1種の中でもその

建築物の置かれている、あるいは使用される状況により大きく変化してくる。住宅におい

てもスタンダードセットの押しつけのようにリフォームを行うのは極力避けるべきである

が、非住宅の場合は非常に危険と言える。よって、建物全体、各空間の性質や条件を徹底

的に分析したうえで慎重にプランを立てることが必要となる。「今人気のこの省エネ建材

を使うと年間で10%のコスト削減につながる。実績もでている。」といった文句に載せら

れると削減できないどころか、さらに大きな問題を引き起こすリスクがそこには存在する。

 

 

◆永井宏治 プロフィール◆

JENA取締役 ドルトムント工科大学(TU Dortmund)Diplom過程修了後、エコセンターNRW入社。ドイツ国内で

住宅の省エネ化、連邦国土交通省企画の研究プロジェクト、持続可能な都市計画に関するコンサルティングを行う

一方、日本国内の住宅エネルギーパス作成用プログラム開発参加の他、持続可能な建築・都市やエネルギー政策

に関するセミナー等を行っている。

 

 

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╋■┛  これからのエネルギーパスセミナー・研修会のご案内

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一般社団法人日本エネルギーパス協会からのお知らせ

~エネルギーパス資格認定講習のご案内~

 

 

【本研修の内容】

住宅の省エネルギー化の気運の高まりにより、EUでは「住宅の省エネ性能」を共通の

「ものさし」で評価することが進められています。

 

ドイツでは段階を経て2008年に義務化された、ISO基準に基づいたエネルギー評価結

果の証明書、それが「エネルギーパス」です。

「エネルギーパス」では、家の燃費性能を定量的に表示することにより、その家の省

エネ性能を一目瞭然でお客様に伝えることができます。

 

本研修では、日本版エネルギーパスの算出プロセスを理解することと、計算ソフトを

駆使して自身でエネルギーパスの発行、及び省エネ建築物の設計・施工ができるよう

になることを目的とします。研修終了後、所定の手続きにより、日本エネルギーパス

協会の認定ライセンス取得、計算ソフトの利用ができるようになります。

※研修は全2回全ての受講が必須です

 

【今後の研修開催予定】

9月17日(火)18日(水)  大阪

10月15日(火)16日(水)  東京

10月22日(火)23日(水)  大阪

11月19日(火)20日(水)  東京

1月21日(火)22日(水)  東京

2月18日(火)19日(水)  大阪

 

東京は日本エネルギーパス協会セミナールームにて行います。

その他に関しては会場が未定ですが、駅付近となる予定です。

上記日程は受講人数が7名以下の場合中止となる可能性があります。

詳しくは日本エネルギーパス協会のWebサイトをご確認下さい。

 

【受講費】

100,000円/1人(会員価格)

★その他の割引

1社で10名以上で受講する場合や、地域の工務店のお仲間と一緒に10名以上で受講す

る場合は予定開催地域以外での出張研修会を開催致します。お気軽にご相談下さい。

 

【お問合せ】

一般社団法人日本エネルギーパス協会

TEL 03-6205-4492

URL: http://energy-pass.jp/

 

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東京都港区新橋2-5-6

TEL03-3591-7080

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